二瓶勉が原作側になった新作『大雪海のカイナ』は果たしてヒットするのか!?
フジテレビのアニメ枠「+Ultra」新作発表会にて、「シドニアの騎士」「BLAME!」「人形の国」の弐瓶勉と、これらの作品をアニメ化してきたポリゴン・ピクチュアズとのタッグによる新プロジェクト「大雪海のカイナ」(オオユキウミノカイナ)が発表されました。放送開始予定は2023年1月から
また、2022年2月26日発売の「月刊少年シリウス」にてアニメに先駆け漫画が連載開始。
作画に関しては同誌でも連載されていた『獣の奏者』の武本糸会が手掛ける。
打ち切りのような完結をした『人形の国』連載終了から突然の弐瓶勉新作発表で驚いているファンが多数いることだろう。しかし今回の新作に関してはいつもと大きく違う点がある。
今回は弐瓶勉の作品というわけではなく原作という新たな試みにより開始される。
以下、公式HPに上がっている「大雪海のカイナ」の設定について
拡がり続ける「雪海」により、大地が消えかけた異世界――。
人々は巨木「軌道樹」の根元や頂から広がる「天膜」の上でかろうじて暮らしていた。
天膜の少年カイナと、地上の少女リリハが出会うとき、
滅びかけた世界を変える物語が、始まる――。
世界観の説明からすでに弐瓶勉節が効いておりファンなら期待せざるを得ない雰囲気が漂っている。こういった世界全体が過酷な状況は直近の『人形の国』でも健在でしたが、PVを見る限り『風の谷のナウシカ』に強く影響を受けているのが伺える。
今作がどう評価されるのか弐瓶勉ファンとしては気になるところだが個人的に期待できる部分とヒットするかの予想まで独断と偏見で解説していきたいと思います。
今までと大きく違う点。弐瓶勉が作者ではなく原作者
これは相当な実験的な企画だと思います。
この成功で今後の弐瓶勉の立ち位置や評価を左右する決断ではないかと思います。
弐瓶勉作品といえば「独特なSF世界観」「独自の魅力的な造語」「圧倒的スケール感」「説明不足とも言える徹底的な説明の簡略化」が魅力となっていますが、このどれもが読者を選ぶもので正直大衆向けとは言えない作風となっている。
個人的に弐瓶勉作品が大衆向けではない要因として「説明不足とも言える徹底的な説明の簡略化」に伴う演出が主な原因ではないかと思っています。
もちろんこの部分が魅力であることには変わりないのですが、とにかく造語や難解な表現が多い中でそれの説明すらほとんどないので、今起きている状況や何が問題になっているかの理解・感情移入が非常に難しくなってくる。
そのため恐らく慣れない人や慣れている人でも「1回読んだくらいでは意味がわからない」「かっこいいし雰囲気はいいけどよくわからない」といった感想になってします。※「シドニアの騎士」が一般向けにヒットしたのはこの部分が若干マイルドだったからかと考えられる
この「意味がわからない」ことになる演出面を弐瓶勉自身ではなく、アニメの制作側や他の漫画家の作画によって弐瓶勉の世界観を表現することで確実にアクの抜けた作品になってくると予想できる。
これで一番恩恵を受けるのは漫画版だろう。
武本糸会氏の作品は正直読んだことがないので判断が難しいが作画に関しては弐瓶勉の人物画に近く、漫画としての表現力に関しては本人よりもしっかり持っているように思われる。
うまく弐瓶勉の作る世界観を表現できれば今までにないヒットも出せるのではないかと考えられる。
ここで原作の作家性が認められれば先の作品でもっと弐瓶勉ワールドが量産・再評価されるのも夢ではないはず。
「大雪海のカイナ」はヒットするのか?ヒットするための要素とは?
ヒットというのを売り上げや話題性と見るか、ある程度の認知で見るかによるが
ボクの予想では漫画版は作画・表現により予測ができないがアニメ版はそこまでヒットしないと思います。
まず個人的見解ですがこの手の世界観の作品で話題になる要素としては以下をある程度満たしている必要があると考えている。
・主要登場人物の出生が謎
・謎に関する伏線回収
・鬱要素
→感情移入したキャラクターの死亡
→予想もしていない裏切り
→過度なグロテスク表現
→容赦のない現実描写(食料問題等)
→過酷な世界観の表現(衛生面等)
このあたりの要素で最近で一番有名なのは「進撃の巨人」でしょう。
あとは「メイドインアビス」などなど・・・
恐らくですが、昨今の流行りとしては「鬱要素」がかなり重要になってくると思われるので、作品自体のポテンシャルからこの部分を十分発揮できるのではないかと思っています。
そういった意味で表現に幅のある漫画版には大いに期待が持てる。
淡白な絵から容赦のない鬱展開で「シドニアの騎士」ぐらいを超える話題性は容易いかと思います。
アニメ版がヒットしないと思う理由に関して
あくまで個人的な意見だが、ヒットしないとのは思うアニメ制作がCGだからです。
先ほど「鬱要素」は重要と言いましたが、まさにこれが関係しています。
CGの場合では漫画で描ける空気感や不衛生感がどうしても感じられません。
今作のような過酷な作品では基本的に世界観の表現が重要になってきますが、CGの場合は奥行き感などの表現は非常に緻密にできますが、絵で魅せることはどうしてもまだまだ限界があるように思います。
風の谷のナウシカの腐海やメイドインアビスの大穴など「絵」で描かれることによる芸術性みたいなものがCGにはないのでそれが非常に心配です。
また例えば腕がちぎれる描写があったとして、通常のアニメであれば切断面や描写に幅が持たせれるが、CGだとどうしても人形の腕が取れたみたいな雰囲気になってくるし、表情や動きが一定過ぎて本来の深刻さが損なわれる可能性があるからです。
それが二瓶勉っぽくはあるが今作は同氏が演出ではないのでそこは変えてほしいと思っています。そもそもそういった描写事態を割愛する可能性すらありますが・・・
恐らくですが今作の「軌道樹」と呼ばれる軌道エレベーターみたいな名前の巨大樹での世界のスケール感をCGでガッツリ魅せたいのではないかと思っています。
その場合、なんとなくどんなアニメになりそうか凡そ予想ができてしまうので期待値が下ががちです。
二瓶勉には押井守と一緒に「BLAME!」のアニメを作ってほしい限りです・・・
※といいつつ押井守の「イノセンス」のオープニングCGはポリゴン・ピクチュアズでした・・・すいません
『大雪海のカイナ』に関する予想と期待まとめ
以上、二瓶勉の新作ということでテンションが上がってしまいましたがアニメは1年後なのでしばらくお預けです。
その代わりに先行して漫画が連載開始されますので作画が別担当の二瓶ワールドの大いに期待したい。
ではでは
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