近年稀にみる傑作ガンダム!!映画『閃光のハサウェイ』ネタバレ&感想

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映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』キービジュアル アニメ&映画
(C)創通・サンライズ

名作か?駄作か?ついに配信開始された
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想まとめ!

『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督がおよそ30年前に手がけた小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』をアニメーション映画化した3部作の第1部がついに配信開始されました。

本作品は少し前に劇場公開されていますが、
この度Amazon Prime・Netflixで配信が開始されましたので、
さらに多数のレビューが出ており、絶賛と酷評入り乱れていると思います。

ここでは評価できる部分と酷評されている部分について解説していきたいと思います。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の評価

まず結論から言います。

「名作です!純粋に面白いです!」

直近の作品である宇宙世紀シリーズ最新作の「機動戦士ガンダムNT」が
微妙だったので不安でしたが、今作で見事に覆してくれました。

名作と名高い『逆襲のシャア』の正統続編の名に恥じない作品だと思います

先に言っておきますが、私は「逆襲のシャア」世代ではないです。
物心ついた際に放送していたガンダムは「Vガンダム」なので比較的ガンダム氷河期世代です。

私はどちらかというとガンダム作品のいつものオマージュ表現が好きではなく、
過去がどうだったかなどは気にせず見れるタイプです。

ですのであまり過去作に対する思い出補正などがないので、
比較的フラットな目線で評価できると思っています。

まず私が面白いと思った部分に関して解説していきます。

まるでハリウッド作品!? 圧倒的な映像美と演出力

細かい部分はいいので、とにかくまずこれに尽きると思います。

昨今のガンダムと言えば、エヴァなどと違い演出などが子供染みており、
悪く言えばチープであるためどうしても大人向けの娯楽作品というものではない印象でした。

しかし今作は良くも悪くも演出や映像表現が実写に近く。
大げさに言えばハリウッドのSF作品としても遜色のないクオリティになっていると思います。

まず冒頭からすでに感じる部分ですが「重力表現」が非常に多彩です。

今までのガンダムだと大体「フワフワ」「ポーン」みたいな感じだったのが
複雑な髪のなびき、大気圏を抜けるシャトル、
モビルスーツの挙動から複雑な「重量」を感じることができます。

加えて遠近感を感じる構図と極端なまでの陰影のコントラスト!
とにかくこれでもかと魅せてくれます。
映像の美しさではガンダム史上最高傑作なのではないでしょうか?

ガンダムと言えば映像作品なのに、
なぜか名言やお約束の流れみたいなものばかり神格化されていますので、
こういった純粋に映像として完成度の高いガンダムが出てきたというだけで非常に嬉しいです。

激渋!! 圧巻のモビルスーツ戦闘シーン

序盤はモビルスーツはあまり登場しませんが、
主人公ハサウェイの動向に引き込まれるので途中まで私は
モビルスーツが最悪登場しなくても楽しめると思っていました。

しかしホテルでの戦闘シーンから改めてモビルスーツ戦闘も楽しむ作品だと再認識しました。

作りこまれたコックピットのUI、空中での360度の立体的戦闘、
飛び交う弾幕とミサイルの嵐、暗がりで不気味に光るモノアイ、
逃げ惑う人々と容赦のない無差別攻撃。

今作はとにかく戦闘シーンが渋いです。演出の大勝利です。

特に終盤のΞ(クスィー)とペーネロペーの戦闘はその巨体と圧倒的な弾幕でさながら
『怪獣』VS『怪獣』といった迫力があります。

同じ巨体同士の戦闘で言えば個人的には過去作の『機動戦士ガンダム0083』の
デンドロビウムVSノイエジールが至高ですが、今作はそれを超える圧巻の戦闘です。

サイズで言えばΞ(クスィー)とペーネロペーのほうが小さいはずですが、
演出の力も相まってこちらのほうがより大きく感じるほどでした。

絶妙!! 今作のためにリ・デザインされたモビルスーツ

本作は約30年前の作品で原作が小説であるため、
当時のモビルスーツ設定画自体もそこまでしっかりしたものがないです。

どちらかというと昨今まではゲームで登場したデザインのほうが馴染みが深いと思います。

今作に関しては原作の設定画を元にかなり改良がなされたみたいで相当イケてます。

ジェガン(マンハンター仕様)

毎回扱いの悪いジェガン。

見た目はニーハイを履いたような妙な見た目ですが、
その実態は名前の通り、対人間用という鬼畜仕様。

優しそうな見た目で中身が凶悪な警察官みたいなとても面白いデザインだと思います。
こういう既存機体に絶妙に付加価値つけるのはとても好きです。

メッサー

昔原作の設定画を見た際は、なんかダサいと思っていましたが
今作で良い意味でしっかりガンダム作品ぽいデザインに昇華されています。

見た目はヤクトドーガの亜種っぽいですがより男臭くゴツゴツしたフォルムとなっています。

特に空中戦闘シーンでのバーニア付近の作画が最高にかっこいいです。

ペーネロペー

うまいこと全体像が今回描写されませんでしたが、
終始一瞬移りこむフライト・フォームのシルエットは恐怖そのもの。

公式HPで見る感じだとかなり無理のある変形形態だと思っていましたが、
劇中ではそれが逆にいい意味で相当な威圧感になってます。

特に大量のミサイルでの弾幕戦闘シーンはまさに巨大怪獣といった印象です。

Ξ(クスィー)ガンダム

終盤で満を持して登場の主人公ワンオフ機体。
劇中ではハサウェイが「Ξ(クスィー)G」と呼んでいました。

一応主人公機のガンダムなのですがデザインは相当異形で、
登場時の手の形状からもカッコよさよりも不気味さの印象を受けるかと思います。

ペーネロペーとの高速戦闘の都合上、こちらもフライト・フォームをとるのですが、その形態が直立不動での飛行のため、その巨体と相まって非常に怖いです。

機体サイズと飛行姿勢から『風の谷のナウシカ』の巨神兵を彷彿とさせます。

『閃光のハサウェイ』が一部酷評されていることに関して

今作は興行収入的には成功しているみたいですが、
やはり名作の続編ということでレビューで低評価や内容に関する酷評が見られます。

ではどう言った不満の声がよく見られるかの紹介と個人的な見解を入れます。
ほぼ想定内の意見ではありますがピックアップします。

ハサウェイに感情移入できない

当たり前です。

彼はまだ少年のころ戦争に参加して人も殺していますし、
好きな娘が目の前で死んでいます。

そんな彼が、当時目にした理想論を掲げる独裁者に影響を受けて
テロリストのリーダーとして暗躍しているのですから、共感できるはずもありません。

ハサウェイ自身も自分の行動に矛盾や葛藤を抱えながら、
止まれないほど狂っているのですから、これに感情移入とかしていたら危ないです。

むしろさせないように制作人は作っているのではないでしょうか?

戦闘シーンが暗すぎてよくわからない

結構この意見が多いのですが、ちょっと待ってください。

テロリストなんですから夜戦になるのは不思議ではないですよね?

単純にしっかり動いているガンダムが鮮明に見たいのでしたら、それは悪い意味でガンダムに対して保守的になりすぎているかもしれないです。

例えるならバットマン好きだけど、
ダークナイトは暗いし戦闘シーンが地味だからバットマンじゃない
って言ってるようなもので、固定概念で嫌うにはもったいないと思います。

逆襲のシャアに比べて・・ファーストガンダムに比べて・・・

これはもうダメです。不毛です。

もちろんこの意見は正しいかもしれませんが、
こういった意見を述べている方はその名作を観た年齢を思い出してください。

恐らく小学生・中学生とかですよね?

言わなくてもわかると思いますが、その年齢は感受性が豊かですし、
経験不足からくる刺激は相当なものです。その時に受けた衝撃に勝るものはないです。

それを40~50歳にもなって同等の刺激や期待感を持っていくのは
作品以前に本人の問題もあるのではないでしょうか?

いくらおよそ30年前の作品だからと言って、自分たちの世代の尺で図るには浅はかすぎると私は思います。

新海誠や細田守の作品と比べて・・・

比べる意味がわかりません。若い方に多い意見です。

こういった意見を言う人は芸術っぽいものを高尚とみなし、
ロボットアニメは子供用のお金儲け作品だと偏見を持っているような人間です。

これを言う人とはそもそも議論にならないので変に頑張らないほうがいいです。
シャア並みに人の意見を聞かない場合が多いです。

過去作に比べて名言がない

名言は個人が決めるものではなく、相対的な意見によって決まってくるので、
現時点で名言があるかないかは判断できないです。

そもそもガンダム=名言の固定概念で見るから面白くなくなるので、
そういった意見はシャアやハサウェイのように、
過去にとらわれた悲しい人達だと思うしかないです。

疑問に思ったシーン・腑に落ちなかった演出

疑問

私個人的には今作は非常に楽しめたのですが、一部理解が追い付いていない部分や、
演出に不満が残った部分がありますので紹介します。

ハサウェイの食事シーン

作中3度ハサウェイの食事シーンで印象的な描写があったのを皆さんお気づきでしょうか?

・序盤の政府高官などと同乗したシャトル内での機内食の完食
・ホテル内での食事でのケネスのつまみ食い
・ホテル内食堂でのギギ・ケネスとの食事の食べ残し

この3つに関して個人的に妙に気になりました。
食事へのカメラアングルが露骨すぎるのです。

考えすぎかもしれませんが、完食の流れからの食べ残しは
ハサウェイ自身の迷いなどの心情変化を表しているのではないでしょうか?

ギギの性格や本質に関して

今作の魅力の1つとしてギギというキャラクターは避けては通れないでしょう。

見ての通りクェス・パラヤのオマージュだと思いますが、
宇宙世紀シリーズとしては珍しく露骨なサービスシーンと男を惑わす魔性っぷりは
暗いストーリーにいいアクセントになっています。

しかし性格に関して言えば非常に情緒不安定で見ていて理解できませんでした。



最初テロリストが来ても動じない冷静さとミステリアスな言動で
かなりクールなキャラかと思いましたが、
途中の軽すぎる言動や意図のわからない行動、
ホテル襲撃時はパニックになるなど冒頭の性格と違いすぎてモヤモヤしてしまいました。

加えてニュータイプのような描写もあるが名言されていないので、
単にラッキーガール的な扱いを受けており、
そんな理由で軍のお偉いさんがそばに置いておくのもやりすぎではないかと思います。

ホテル脱出後の戦闘シーンに関して

今作の見どころの戦闘シーンではありますが、後半の描写に違和感がありました。

一応マフティ側としてはリーダーのハサウェイを回収しに来たという理由はわかるのですが、
コントのようにハサウェイとギギが逃げる場所に瓦礫やモビルスーツが落ちてきたりします。

演出上緊迫するシーンなのですが、
あまりにちょうど全部ギリギリのとこで起こるので妙に気になってしまいました。

むしろあんな露骨な攻撃作戦でよくハサウェイを助けれると思ったな・・・

Ξ(クスィー)回収シーンに関して

そもそもなぜ宇宙に浮遊していて、UIにマフティの文字がでるのか?

アナハイムとのつながりなど説明も描写もしていないのでわかりにくい。

ケネス察しが良すぎ問題

ギギのセリフだけでなぜハサウェイがマフティに関連すると気づけたのか?

事前の伏線などもなかったのでそこで気づくのは無理があると思いました。

まとめ

以上、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に関する感想と評価でした。

個人的には非常に楽しめましたので、残り2作が早く公開されないか待ち遠しいです。

それまでにまた何度か観てこの作品を楽しみたいと思います。

余談ですが劇中に挿入される曲やエンディング曲のタイミングなども
非常にカッコよかったのでこれぞ『令和のガンダム』という感じでしたね。

ではでは

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