原作漫画版『風の谷のナウシカ』名作と言われる理由

「ナウシカは原作版のほうが間違いなく面白い」
「ナウシカは原作版のほうを絶対映画化してほしい」
「ナウシカ原作版は宮崎駿の最高傑作だから絶対読んだほうがいい」
皆さんの周りでこんなこと言ってる人が絶対一人はいませんか?
・・・面倒くさい人と思う前にちょっと待ってください。
この人たちがなぜ揃いもそろって同じことを言うのか?
そもそも映画版も見ていない人にもアピールしてくる理由はなんなのか?
今回はそういった漫画の原作版信者の方が、どういった所に魅力を感じているのか?
実施のところ本当に面白いのか?
という部分を映画版と比較しながら
今回は説明していきたいと思います。
念のため、私個人の感想や解釈が入りますのでご了承ください。
【比較その1】全体のストーリー展開から完結まで
前提として映画版は原作版の2巻くらいの内容なので、
ボリュームがかなり少ないですがどちらも軸だけ抑えてものすごく簡単に説明します。
高度に発達した文明が滅びた後、わずかに生き延びた人類は腐海と呼ばれる毒素と蟲(むし)に蝕まれながらも懸命に暮らしている。
主人公ナウシカが住む辺境諸国の風の谷に、偶然落ちてきた古代兵器の「巨神兵」を回収しにきたトルメキア帝国により谷が侵略され、色々ごたごたする。
ついにはトルメキア軍も風の谷の人々も蟲に全員殺されてしまうと思った瞬間、
死んだと思っていたナウシカが蘇り奇跡を起こして人々を救ってしまう。
最後はトルメキア軍と和解して一件落着、わずかな希望も垣間見れて、
これからも人々はひっそりと生きていくのでした。END
トルメキアと土鬼(ドルク)という大国が戦争をしており、主人公ナウシカは盟約に従い風の谷代表でトルメキア側として戦争に参加する。
戦闘が激化する中、ナウシカは腐海の真実と人類の行く末を知る。
すべてに決着を付けるべく真実が待つ、土鬼の首都に向かいナウシカはついにすべての真実を知る。
最後はナウシカは真実を胸に秘めたまま、滅亡の道しかない汚染された大地で人々と生きていく選択をする。END
以上が大まかなストーリーの比較となります。
これだけでかなりの違いがわかりますね。
映画版はナウシカが侵略国に抗い最後は奇跡ですべてを救い、世界に希望が見出される。
という極めて宗教くさい展開ですが、原作版は主に大国同士の戦争に参加して、身も心もボロボロになって、最終的にすべての人が死に絶える可能性のある夢も希望もない選択をナウシカがする。
全体的な流れとしては映画版で侵略者として描かれるトルメキア帝国ですが、原作版では風の谷がトルメキアの同盟国なのでナウシカ自身がトルメキア軍として土鬼との戦争に加担していく流れになります。
さらに原作版では「風の谷」がほとんど関わってこないのも面白い特徴です。
原作版では土鬼からしたら「トルメキア軍のナウシカ」にしか見えないと思います笑
【比較その2】主要キャラクター
続いてはキャラクターに関してです。
主に映画版・原作版にも登場していて、ストーリーに大きく関わってくるキャラクターのみを比較していきます。
ほぼこのキャラクターたちが見どころになるので要チェックです。
※魅力あるキャラクターは多数いますが今回は割愛します。あくまでよく話題にあがるキャラクターのみに絞ります。
ナウシカ
タイトルにもなっている主人公の16歳の女の子です。
基本的な性格は変わらないので原作を読んでもそこまで違和感はないでしょう。
- 年齢の割に性格が大人びており母性的
- 恋愛感情など個人的な描写あまりないため聖人のような雰囲気
- 蟲に対して敵意がない
- 偽善的ともとれるほど正しいことにこだわる
- 年齢の割に性格が大人びており母性的ではあるが、出自の影響か常に寂しそう
- アスベルが好き
- テレパシーや幽体離脱など超常の力という能力がある
- 一部の人種や蟲にやや差別的な偏見を持っている
- 目的のために手段を選ばない傾向がある
以上のように映画版は総じて内面の美しさが際立ちますが原作版は人間味が増しており、弱さや苦悩といった面が目立ちます。
個人的に影がある感じがとても魅力的に感じます。
クシャナ
みんな大好きクシャナ殿下。トルメキア帝国の皇女です。
多くの方が恐らくこのキャラクターが一番ギャップがあると答えると思います。
- ナウシカと敵対する
- 侵略者らしく敵味方問わず高圧的な態度
- 部下には畏怖されている
- 動揺や困惑している描写が多い
- 四肢の一部が欠損している
- 赤髪で鎧が趣味の悪い金色(ブロンズ?)
- 作中のいわゆる敵のボス的立ち位置
- ナウシカと共闘する
- 常に冷静で正義感が強く、部下想い
- 登場するだけで死にかけの部下の士気が上がるほど圧倒的なカリスマ
- 死を間近にしても毅然とした態度
- 王族だが生い立ちがかなり悲惨
- 金髪で鎧は美しい白金(銀)
- 作中ではナウシカに次いで第2の主人公的立ち位置
以上のように原作版は非常にかっこいいキャラクターとなっていますので、原作版ナウシカを好きな人がまずクシャナのことを言う確率は非常に高いです。
原作を読んでいなくても「クシャナかっこいいよね」と言えば読んだと騙せるくらい作品全体の評価を左右するキャラクターと言っていいでしょう。
出典:風の谷のナウシカ コミックス2巻より
巨神兵
旧文明を滅ぼした古代人型兵器の巨神兵です。
作中の設定は同じですが、物語上の立ち位置が全く違います。
登場時期も遅く短いですが、間違いなく圧倒的印象に残るキャラクターだと言えます。
- トルメキアが風の谷を侵略しに来た目的(ペジテで発見されて輸送船が墜落したため)
- 人語を理解しているようだが感情があるかは不明
- 全身が溶岩人間のようなフォルム
- ストーリー後半トルメキアの兵器として登場
- クシャナの命令に従う
- 生まれるのが早すぎたため腐っている
- 当時の庵野秀明の作画がとてつもなくかっこいい
- すぐ死ぬ
- 復活には秘石と呼ばれる起動装置のようなものが必要
- ペジテで発見されトルメキアが奪取するが後に秘石をもつナウシカの味方に
- ナウシカを母と思い込み従う
- ナウシカに名前をつけてもらう
- 人語が話せる(基本的にテレパシーだが)
- 空が飛べる
- 体から毒の光という放射能が出ている
- 商標タグがあり日本製のような描写がある
- 見た目は筋肉が露出したようなグロテスクな外見
- 不完全な復活方法だったため戦う度に腐敗する
- ナウシカと共に争いの根源である土鬼本拠地に向かい共闘する
- 死んだかと思えばなかなか死なない
以上、ナウシカを語る上で必ず話題に出る巨神兵ですが実はストーリー上はそこまで重要な立ち位置ではありません・・・
もちろん運命を左右する存在ではありますが、決断材料のようなもので「核兵器」のような一種のジーカー的存在です。
原作版を知らない人が「巨神兵が仲間になる」という部分がまず驚くところでしょう。
出典:スタジオジブリ公式HP 「風の谷のナウシカ」より
【比較その3】そもそも風の谷のナウシカを見たことがない理由
少々方向性が変わっていますが、面白いかどうかの反対で世間の人がどういった理由で風の谷のナウシカを見ていないのかも映画版と原作版で比較してみます。
ここに関しては私の経験上で「風の谷のナウシカ見たことある?」の質問でよく聞いたことのある意見をまとめています。
- TVでやってても途中で眠くなるので最後まで見たことがない
- ジブリ映画をあまり見たことがない
- ハウルは見たことあるけど・・・ ・昔見たことがある気がするが覚えていない
- そもそも映画のほうも見たことがない
- 原作があるのは聞いたことがあるが興味がない
- 本屋で売っているのを見たことがない
- 原作好きが強引に進めてくるので逆に読みたくなくなった
以上です。
どうですか?皆さんも一度はこういった意見を聞いたことがありませんか?
だから原作が面白いかどうかの議論にすらならないのです!
こういった背景もあるので原作版が好きと言っていればサブカル好きであるかのような一種の指標みたいになるので、やたら原作ファンを公言する人達がでてくるのも必然です。
まとめ
以上、映画版と原作版の簡単な比較でした。
細かくすると長くなるので続きは別の記事で行いますが、世界観と主要キャラクターに関しては違いがわかったかと思います。
原作版はキャラクターの掘り下げがかなり深いため映画版以上に魅力があるのがわかります。
さらにメインキャラ以外にもかなり印象的なキャラクターも沢山出てきます。
突出すべきはストーリーの違いで、映画版は1つの作品としてまとめるために情報量が少なく伝記といった感じの作品ですが、原作版はラストの真実を含めかなりSFチックでグロテスクなためコアな漫画好きにはたまらないでしょう。
私も原作版が大好きなのですが、映画版が好きで原作を見た人が大半だと思うので、恐らくですが原作好きであまり映画版を否定する人はそこまでいないと思います。
結論を言うと原作版は面白いです。
鼻息荒く流行りもののように進めるものではないですが、間違いなく名作ですので興味があれば読んでみてください。
ではでは
コメント
[…] ソースからの抜粋: … […]
AKIRAにも同じ事が言えるよね
ジョーカーの扱いとか、ミヤコ様とか